CDレビュー:主張するピアノに絡み合う柔らかなクラリネット!ディミトリ・ラスル=カレイエヴ&サヤ・ハシノ「クラリネットとピアノのためのイギリス音楽集」





 

株式会社オクタヴィア・レコード様から2019/7/24発売のCD「クラリネットとピアノのためのイギリス音楽集」が届きましたので、簡単にレビューしてみようと思います。

「クラリネットのCD」っていうとジャケットに伴奏者が写っていないことも多いイメージですが(クラリネットに限らず)、今回はジャケット見たままの関係性というか、「ああ、これがデュオだな」って感じの仕上がりになっています。

カレイエヴの柔らかくちょっと優等生っぽいながら時折なまめかしさや激しさを見せるクラリネットも凄くステキなのですが、ハシノさんのピアノが「ね、姐さん!」と呼びたくなるほどにグイグイ来るのがまたたまりません。

「クラリネットと伴奏」ではなくて「クラリネットとピアノのデュオですがなにか」みたいな、お互いを立てるんだけどお互い自分も常に前に出ていて緊張感と楽しさが存分に伝わってきます。クラリネット奏者、ピアノ奏者だけでなく、「誰かと一緒に演奏する」すべての人にとって学びがあるんじゃないでしょうか。合奏する、絡み合う、っていうのはこういうことかな、という印象ですね。

「癒やしですね」「優しいですね」でもないし「クラリネットの妙技がどうこう」でもないし、トッププロ同士のデュオによる丁々発止のやり取りを楽しむCDですね。こりゃ楽しいですよ。エキサイティングな二人。

こちらのCDはWind Band Pressと同じくONSAが運営するオンラインセレクトショップ「WBP Plus!」でもお取り扱いしています。

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レビュー:梅本周平(Wind Band Press / ONSA)


商品詳細は以下の通り。

 

▼メーカーより

素晴らしいレコーディング!類まれな二人のミュージシャン。
無数の色と、次々に起こる魅力的で、躍動的で、そして圧倒的な音楽のやりとり。
この音楽を発見したことは大きな喜びだ。
スイス・ロマンド管弦楽団 音楽監督/東京交響楽団 第3代音楽監督 ジョナサン・ノット

100年以上の伝統がある名門、スイス・ロマンド管弦楽団のクラリネット首席奏者であるディミトリ・ラスル・カレイエヴ。世界屈指の指揮者や演奏家から厚い信頼を集めている実力派ピアニスト、サヤ・ハシノ。
二人が奏でるクラリネットとピアノのためのイギリス音楽は、世界でも稀有な録音です。極上のサウンドと二人の心温まる、そして心踊る音楽を存分にお楽しみ下さい。
圧倒的な音楽性と技巧の融合!世界でも注目される二人の魅惑の初アルバム!

品番:OVCC-00153
税抜価格:3,000円
発売日:2019/7/24
メーカー:株式会社オクタヴィア・レコード

演奏:
クラリネット:ディミトリ・ラスル=カレイエヴ (Dmitry Rasul-Kareyev, Clarinet)
ピアノ:サヤ・ハシノ (Saya Hashino, Piano)

収録内容:

1-3. クラリネットとピアノのためのソナタ 作品129:チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード
Sonata for Clarinet and Piano Op.129:Charles Villiers Stanford

4-6. クラリネットとピアノのためのソナチネ 作品29:マルコム・アーノルド
Sonatina for Clarinet and Piano Op.29:Malcolm Arnold

7-11. 5つのバガテル 作品23:ジェラルド・フィンジ
5 Bagatelles Op.23:Gerald Finzi

12. 幻想的ソナタ (クラリネットとピアノのための):ジョン・アイアランド
Fantasy-Sonata (for Clarinet and Piano) :John Ireland

13-15. クラリネットとピアノのためのソナチネ:ジョーゼフ・ホロヴィッツ
Sonatina for Clarinet and Piano:Joseph Horovitz

2017年7月9-10日 ヴィクトリア・ホール、ジュネーヴ(スイス)にて収録
Recording at Vivtoria Hall, Ville de Geneve, 9-10 July 2017

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ディミトリ・ラスル=カレイエヴ (クラリネット) プロフィール
DMITRY RASUL-KAREYEV

スイス・ロマンド管弦楽団クラリネット首席奏者。2010年ドビュッシー国際クラリネットコンクール(パリ)優勝
者。1984年モスクワ生まれ。モスクワ中央音楽学校にてVladimir Ferapontov氏に、のち2001年にモスクワ音
楽院にてVictor Petrov氏に師事。同時期ロシアで『ロザノフ国際クラリネットコンクール(2000年)』第2位入
賞。15歳よりスピヴァコフ国際ファウンデーションの会員として名声のあるホールにて定期的に演奏会を行
う。2002年から6年間に渡りイギリス王立音楽アカデミーより特待生として全額免除の奨学金を授与される。
ロンドン滞在の最初の2年間Geoffrey Hawksクラリネット賞、全管楽器の学生から選出されるJohn Solomon
賞、またヨーロッパ・ヤマハ・スカラシップ・コンペティションにて受賞。2007年、Worshipful Company of
Musicians (ロンドン) よりAllcard awardを授与される。ディミトリの王立音楽アカデミーに在学中、Max Pirani
Prize、 John Ireland Prize、Nickolas Blake Prizeなど室内楽のコンクールで受賞。
2006年にヴェルビエ・フェスティバル・オーケストラのクラリネット首席奏者としてジェームズ・レヴァインと共
演をきっかけにオーケストラ奏者としてのキャリアをスタートさせる。同年、バーミングハム交響楽団のクラリ
ネット首席奏者を経てフィンランドのタンペレフィルハーモニー管弦楽団クラリネット副首席奏者を2009年まで
務める。2009年より現在までスイス・ロマンド管弦楽団クラリネット首席奏者としてスイスのジュネーヴに拠点
をおき活動。2013年よりイギリス・ロンドンの王立音楽アカデミー会員に選出される。
2011年よりWurlitzerドイツシステムのクラリネットを使用。

サヤ・ハシノ(ピアノ、オルガニスト、クラヴシニスト) プロフィール

ピアニスト、オルガニスト、クラヴシニストとして、スイスのジュネーヴを拠点にヨーロッパ、日本、アジアにおいてソロ、室内楽、オーケストラなどあらゆる形態でジャンルを問わずマルチで多彩な演奏活動を行う。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中、同高校定期演奏会、同大学のモーニングコンサートのコンチェルトのソリストに選ばれ、また読売新人演奏会、東京藝術大学同声会新人演奏会、レインボウ21サントリーホールデビューコンサート、NHK-FMリサイタルほか多数のコンサートに出演。2000年から2002年まで東京藝術大学音楽学部管楽器科の伴奏助手を務める。2002年より明治安田生命クオリティオブライフ文化財団より海外音楽研修の助成を2年間受け、ジュネーヴ音楽大学大学院ピアノ修士ソリスト専攻ならびにオルガン修士ソリスト専攻において研鑽を積み、両修士とも満場一致の首席で卒業。2005年ジョルジュ・フィリピネッティ賞、2007年、2009年ピエール・スゴン賞受賞。ピアノソロにおいてHIMESコンクールで第1位海外派遣賞受賞、イタリアA.M.A カラブリア国際ピアノコンクール第3位(1位なし)、モロッコ・ララ・メリエム皇太子妃国際ピアノコンクールにてフランス音楽最優秀演奏賞、また審査員奨励特別賞受賞、スイスジュネーヴ国際コンクールディプロマ、フランスオルレアン国際ピアノコンクールディプロマ、その他国内外のコンクールにて上位入賞。また室内楽において、日本室内楽コンクール第6位、スイストリオコンクール第3位、ジュネーヴ音楽大学室内楽コンクール第2位。オルガンソロにおいてドイツ・バッハーリストオルガン国際コンクールディプロマ、イタリア・ダニエル・ヘルツオルガン国際コンクールディプロマ受賞。
ピアノを寺井るり子、熊谷玲子、植田克己、渡辺健二、エドソン・エリアス、オルガンをフランソワ・ロー、アレッシオ・コルティ、通奏低音奏法をマルチェロ・ジャンニニ、室内楽をギィ=ミッシェル・カイヤ、ジャン=ジャック・バレ、ガーボル・タカーチュ=ナジの各氏に師事。
これまでにシャルル・デュトワ、マレック・ヤノフスキ、ネーメ・ヤルヴィ、レナード・スラットキン、ジョナサン・ノット、佐渡裕、山田和樹をはじめとした指揮者のもとスイス・ロマンド管弦楽団、ジュネーヴ室内管弦楽団、アンサンブル・コントルションのコンサート、ツアー、録音に定期的に招聘され高い評価を得ている。2018年にイギリス・ロンドンのBBCプロムスでのスイス・ロマンド管弦楽団の公演でストラヴィンスキーのペトルーシュカのピアノパートにおいてイギリスの各音楽誌、新聞、ラジオなどで『これまでに聴いた事のない素晴らしい演奏』、『特筆すべきピアニスト』などの好評を博す。
また、ヴェルヴィエ・フェスティヴァル、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭、メジェーヴ夏の音楽祭、シューベルシアード、メジェーヴ- モンブラン地方国際古楽フェスティヴァルなどの国際的な数々の音楽祭から招待を受け、ラインホルト・フリードリッヒ、ハンス・ガンシュ、ティモシー・モリソン、オーレ・エドヴァルド・アントンセン、ジェラール・メトライエ(Tp)、エサ・タパニ(Hr)、ヴェンツェル・フックス(Cl)、ディミトリ・ラスル=カレイエフ(Cl )、フランソワ・ギュイ(Vc)、ロバート・ジマンスキー(Vn)、ボグダン・ツヴォリステアヌ(Vn)など世界の著名な音楽家との共演を重ねる。
またジュネーヴ国際コンクール、メニューイン国際コンクールなどを始め国際コンクールの公式ピアニストとして招待されている。 近代・現代音楽の分野においてもソロ、アンサンブルともに積極的に演奏活動を行う。10年以上の間レマニック・モダン・アンサンブルの正式ピアニストを務め、2012年から2015年までローザンヌ音楽大学において現代音楽アンサンブルまたは現代音楽ピアノソロの客員教授を務める。
現在、ジュネーヴ音楽大学コレペティトゥール、アマデウス・ピアノ・カルテット(ロバート・ジマンスキーVn、バリー・シャピロVla、シュテファン・リークホフVc)ピアニスト、ジュネーヴ・サン=ジェルマン教会正式オルガン奏者を務める。
2015年よりスイス・ロマンド管弦楽団の二人のクラリネット首席奏者ディミトリ・ラスル=カレイエヴ、ミシェル・ウェストファルとともにSoloist Academyをフランスのクロゼにて設立、若手音楽家の指導にあたる。




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